経営全般

組織力の秘密:美容室経営でのコミュニケーションの重要性

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美容業界における強固な組織とは何でしょうか?
それは大きなスタッフ一同の集団でしょうか、それとも一人で店を切り盛りする経営者でしょうか?
どちらの場合も、それぞれの組織は独自の強さを持っています。

私たちはよく、「大きな組織が強い」という意見を聞きます。
しかし、大きな組織だけが強いわけではありません。
小さな組織、特に美容業界では一人経営の美容室も、大きな強さを持っています。
その強さの一つが、コミュニケーションの効率性という点です。

美容業界では、約3割が一人経営と言われています。
一見孤独に思えるかもしれませんが、実はこの一人経営こそが驚くほどの強さを持っています。
一人経営者の強みは何かと言えば、それは「即座に決断できる能力」です。
一人だからこそ必要なコミュニケーション量が0なのです。
これはどういうことでしょうか?

例えば、あなたの美容室のヘアカラーの受付は通常19時までとしましょう。
しかし、19時半に急ぎのお客様が来店され、「明日の大切な外出に向けてヘアカラーをしてほしい」と頼まれたとします。
一人経営ならば、誰に相談することもなく、すぐに施術を始めることができます。
即座の決断が可能なのです。
つまり、コミュニケーション量は0です。

それに対して、もしスタッフがいる場合はどうでしょうか?
二人体制の場合、スタッフが「これからやるんですか?」と尋ね、あなたが「私がやるから、先に帰っていいよ」と伝えます。
ここでのコミュニケーション量は、往復で2となります。
スタッフが「これからやるんですか?」でコミュニケーションが1、あなたが「私がやるから帰っていいよ」でコミュニケーションが1、合わせて2ということです。

さらに、組織が三人だった場合、意見の一致に至るまでのコミュニケーション量は6、四人だと12、五人だと20となります。
人数が増えるごとに、コミュニケーション量は指数関数的に増え、調整が複雑になります。
ここで「伝言ゲーム」を思い浮かべてみてください。
多くの人を通じて一つのフレーズを伝えると、その正確さは次第に失われていくものです。

組織が大きくなるほど、コミュニケーションの正確性が保てなくなり、組織全体の生産性が低下する可能性があります。
一方で、一人経営者はシャンプーから仕上げまで全てを一人でこなし、一定のクオリティを保つことが可能です。
この点は一人サロン経営の大きな強みとなります。

では、大きな組織の場合、どうやって生産性を保つべきでしょうか?
組織が大きくなればなるほど、人数が増え、業務の分担や役割の明確化が必要になります。
しかし、組織が拡大すると、コミュニケーションの効率性や正確性が保たれない可能性があるのです。人数が増えても売上がその倍数で伸びないと、組織の生産性が低下してしまいます。

経験があると思いますが、スタッフが2倍に増えたらスタッフ一人あたりの売上(生産性)も2倍になるべきですが、実際にはその倍率では向上しません。

例えば、組織が2人から4人に増えた場合、各メンバーとのコミュニケーション量は6倍に増えます。
人数が2倍になると、調整や連携が必要となり、追加のコミュニケーションが発生します。
その結果、質の向上に必要な労力や時間が増える可能性があります。

さらに人数が3倍になると、効率性や正確性の追求がますます難しくなり、3倍の生産性の向上を実現するには困難が伴います。

このように、組織が大きくなると、量(人数)と質(売上)のバランスを保つことが難しくなるのです。

ここでテクノロジーが役立ちます。
グループチャットやビジネスコラボレーションツールなどを活用すれば、組織内のコミュニケーションを効率的に瞬時かつ正確に行うことができます。
これにより、組織全体がフラットな関係性を築き、円滑な情報共有や意思決定が可能となります。

組織の大きさと生産性、コミュニケーションの量。
これらのバランスを見極めながら、組織の強さを維持することが美容室経営のカギとなります。
コミュニケーション量が組織の強さと生産性に大きな影響を与えることを理解し、そのコントロールに注力しましょう。
テクノロジーを活用して、効率的なコミュニケーションを追求することで、より高い生産性と成功へと導く美容室経営を実現できるでしょう。

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